「怪物だ~れだ」 怪物はいない?全員怪物?
すっきりしない映画でした。いろいろ含みを持たす映画で、人それぞれの感じかた、解釈の仕方で、評価が分かれる映画です。
ネタバレ有り
監督、是枝裕和、脚本、坂元裕二ということで、どんなヒューマンドラマが観れるか期待していました。
主人公は、小学5年生の麦野湊(黒川想矢)と星川依里(柊木陽太)。湊の母、麦野早織(安藤サクラ)と二人の担任、保利道敏(永山瑛太)。早織視点、保利視点、湊視点の三部構成で作られている。
最初の早織視点は、湊が保利に虐められていると思い、早織が学校に乗り込む。この時の校長(田中裕子)や保利の対応は、なかなかの怪物ぶりである。この映画が、予告どおり生徒の母親対、不祥事を隠蔽する学校の構図と思わせる展開でした。
しかし、保利視点から教師・保利は少し頼り無いがよい先生として描かれる。どちらが本当の保利先生?という展開になるかと思いきや、三部目の湊視点からは、早織も保利もインパクト無し。
そして三部目の湊視点。ここからがすっきりしない。この映画はカンヌでクィア・パルム賞を受賞している。LGBTを描いた作品に贈られる賞です。このことで「怪物」はLGBTを題材にした映画となる。確かに湊と依里が好意を持っていたのは間違いないが、賞をもらうほどの描写には思えない。二人が廃車になったバスで楽しむ描写が続くが、正直、退屈な時間だった。
そもそも怪物がいない。
麦野早織は普通。堀先生は実はいい人。校長先生は、孫を無くし少しおかしいが、根は悪い人ではない。星川依里の父親(中村獅童)は悪い人だが、この映画の主演級ではない。怪物が誰かわからずすっきりしない。おそらく、「人は人それぞれの視点からは、誰でも怪物になりえる」というメッセージだと思うが・・・・
?の描写も多い。校長がスーパーで子供の足を引っかける?火事の犯人は誰?星川依里?湊と依里の同級生の女の子の役割は?依里が虐待を受けて風呂桶で倒れこんでいるのも不自然だ。?
私の理解力、想像力不足の可能性も高いが
上記の?がわかる人や、子供二人の描写から何かを感じ取れる人には素晴らしい映画なのでしょう。
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