重松清の感動映画  とんび

親父と息子の感動の物語

 このドラマは最初から最後まで、涙がちょちょぎれる素晴らしい物語。NHKとTBSで連続ドラマが放送され、映画も放映されている。

 昭和47年に市川安男(ヤス)と妻・美佐子の間に一人息子・旭(アキラ)が産まれるところから物語始まる。昭和47年の岡山の田舎町が舞台ということで、昭和を懐かしむこともできる。

  アキラが3歳の時にアキラを助けるために美佐子が命を落とす。ここから2人の父子家庭の生活が始まるが、不器用なヤスや料理屋の女将・たえ子、幼馴染の照雲と父親・海雲のアキラへの愛情がほほえましい。母親がいなくて寂しがるアキラをみんなが励まして育てていく。寒空の中、ヤスに抱っこされたアキラを照雲と海雲が手を当てて温めるシーンは名場面だ。

 小学生になったアキラは、母の死因を知りたがるが、ヤスは自分を助けて亡くなったと嘘をつく。息子としては複雑な心境だろう。

 高校生になり野球部に所属するアキラは、不真面目な態度をとる後輩部員をバットでたたく。(ケツバットといってこの時代の野球部員は強さの違いこそあれ、ほとんどの人が経験済み)それを見たヤスは、アキラを殴り飛ばすが、この時にアキラが言う「伝統なんだから仕方ないだろう」に対して、ヤスが言う「そんな伝統やめろって言えばいいだろう」と返すヤスは、とんびなどではない。この後、たたかれた後輩の親がのりこんでくるが、ヤスは見事にやり返す。

 アキラは思春期に入り、ヤスとの関係が難しくなる。重松清の経歴をみると、娘はいてるが息子はいないはずなのに、何故、父と息子の関係をこれほどうまく表現できるのか不思議で仕方ない。

 アキラが東京の大学にいきたがるころから、子離れできないヤスは少しおかしくなっていく。おかしなヤスに耐えられないアキラは家をでる。

 遂に東京に旅立つが、このときのヤスとアキラのシーンも名場面だ。

 二十歳を迎えたアキラに、故・海雲から母の死について書いた手紙が届き、真相をしることになる。

 社会人になったアキラから結婚相手を紹介されるが、相手がバツイチの年上、子持ちであることからヤスは猛反対する。アキラも言っているように、ヤスがそんなことを気にするのは、キャラクターと違うような気がするが、1998年はまだそういう年代だったのか。

 周りに説得されて、結婚を認めるヤス。そこから東京で同居したり、やっぱり岡山に帰ったり、アキラのの実子が産まれたりしながら物語は終わっていく。

 この物語は、父子家庭以外の父子関係にも普通にありえる物語で、大泣きするシーンもないが、何度も涙がでそうになる。私も子を持つ親だが、親は親バカでいいと思う。馬鹿なくらい子供を愛していけばいいと思える作品でした。

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