原作を読んでから観てほしい「ある男」 

ネタバレ有り

 映画を見るときに、原作を読んでから見たほうがいい映画と、読まずに見た方がいい映画とあるが、「ある男」は、読んでから見た方がいい映画だろう。

 ー愛したはずのは,まったくの別人でした

 映画の宣伝にヒューマンミステリーとあるが、ミステリー性は低く、この映画はヒューマンドラマだ。

 原作を先に読んだ方が良い一つ目の理由は、別人だった夫(窪田正孝)の本当の名前、素性がわかってもいいこと。窪田正孝は何者か、本当の「谷口大祐」は誰なのかを、探していくストーリーだが、そこにサスペンス性は無い🙅‍♂️。

 また、人の入れ替わりの理由は、ほとんどが犯罪系(本人が犯罪者か、身内が犯罪者)で有り、原作を見ても見なくてもある程度、想像がつくし、想像通り(本作は後者)。なので、原作を読んで、犯罪者の身内が「谷口大祐」になりすましている事を知っていても差し支え無い。 

 原作を先に読んだ方がいい次の理由述べる前に、この映画の魅力について。

 この映画は、日系である事で、ヘイトにあってはいないがヘイトを感じる、日系三世で弁護士の城戸(妻夫木聡)と、殺人を犯した父の血を引いていることに、苦しめられる原誠(窪田正孝)が、自分の戸籍により、幸せを感じられない苦悩。

 普通に生きてるだけなのに、度重なる不幸に遭遇する、里枝(安藤サクラ)の物語である。 

 原作を先に読んだ方が良い二つ目の理由は,彼,彼女たちの苦しみの背景が原作の方がもう少し詳しく書かれているから。映画には時間制限があるので,原作を全て網羅すらことは出来ない。特に、里枝の離婚に至る経緯は、映画よりも原作の方が哀れみを感じる🫣。

 三つ目の理由は,原作を知っていて話の内容がわかっているのに、それを超越する演技を見せてくれること。

 心のどこかに憂いを持った妻夫木聡、自分の血筋に恐れている窪田正孝、不幸な出来事が次々おそいかかる安藤サクラ。

 他に、真木よう子、柄本明など豪華俳優陣が、原作で想像する以上の役柄を演じてくれる。中でもナンバーワンは,里枝の息子、悠人(坂元愛登)。

 弟を亡くし、実の父親と別離、母親の再婚相手、「谷口大祐」と本当の親子のように仲良くなり,仕事現場に遊びに行と、「谷口大祐」が事故でなくなる。ここまで、可哀想な目に遭わせなくても,と思う。そして、里枝に、もう苗字が変わるのは,嫌だと言うシーン、原作でもそのくだりはあったのだが,思わず涙😭が出てきた。里枝が悪いわけではないが、里枝に「しっかりしろ!」と思わず言いたくなる。

 名前を変えたい人と、名前が変わって欲しくない人。その対比まで描いてるこの映画は奥が深い。

 映画をまだ見て無い人は、是非原作を読んでから,見た人は,原作を読んでからもう一度,見てほしい。

 



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