映画 シャイロックの子供たち

 初期のころの池井戸ワールドか?少し物足りない

ネタバレ有り

  池井戸映画なので、期待値をかなり上げて観に行った。期待値からすると、少しパンチは弱かった。この映画を楽しむには、原作が2006年に書かれたもので有り、池井戸潤の黎明期の作品であることを踏まえて観たほうがいい。パンチが弱い理由は、主役の西木(阿部サダヲ)が半沢直樹や花咲舞ほど、強烈なキャラでは無かったからか。また、池井戸作品は、大企業が中小企業を、上司が部下をといった、立場の弱いものが、物語の前半に散々に、これでもかと、苦しめられ、そこから倍返し、大逆転していくのが、醍醐味である。シャイロックでは、主役の西木は、ほとんど逆境に立たされない。(家族の借金は背負っているが)北川(上戸彩)も、100万紛失の嫌疑はかけられるが、それほど被害を受けていない。紛失の1番の原因の田端(玉森裕太)もそれほど、窮地に立たされない。10億の不正融資に加担する滝野(佐藤隆太)は自業自得。というわけで、日本人の大好きな、判官贔屓の感情が生まれる映画ではない。

 原作の「シャイロックの子供たち」自体、池井戸作品の中では、それほどインパクトのある作品ではない。この映画は、原作とは違うオリジナルということだったので、期待はしていた。にしては、少し雑な感じが否めない。銀行が、だまされて10億円を融資して焦げ付くが、今時、架空会社を見抜けぬはずがない。 滝野(佐藤隆太)が、石本(橋爪功)に脅される理由も、もっと泥臭いものであって欲しかった。田端(玉森裕太)が100万を紛失する場面は、お金を粗末に扱いすぎ😒。紙袋で900万を運ぶはずがない。検査部の黒田(佐々木蔵之介)が昔、銀行のお金に手を付けたことで、支店長九条(柳葉敏郎)に脅されるの件も、少し強引かも。(原作が書かれた2006年は、これが普通だったのか?)

 銀行員出身の作家であり、銀行員の描写はいつも、楽しませてくれる。遠藤(忍成修吾)のように、プレッシャーに負けて、ノイローゼになった銀行員を何人も見てきたのだろう。お決まりの、1円でも合わなければ徹底的に探す。ゴミ箱まで探す。上戸彩となら、ゴミ箱探りも楽しいかもしれない😍。紛失したお金の補填は、どこの会社でもやってることだろう。池井戸ワールド全開で、満足できた。

 終盤、不正融資が石本(橋爪功)と九条(柳葉敏郎)の共謀だとわかり、西木(阿部サダヲ)、北川(上戸彩)、田端(玉森裕太)が反撃に出る。そもそも、石本、九条ともに警戒感が無さすぎ。耐震偽装のビルを売りつけることは、いくら相手が犯罪者であっても、売った側も当然犯罪である。西木も北川も田端もばれたら、銀行を首だろう。しかも自分達の銀行から再度10億円融資させている。最後に西木が銀行を辞めてくれてて何故かホッとした。

 期待値よりは物足りなかったが、池井戸ワールドは十分に楽しめた。池井戸作品はほとんど映像化されているので、動画配信でどんどん観ていきたい。

 

 

 

U-NEXT

コメント

タイトルとURLをコピーしました