鳩の撃退法(中)

必ず鳩の撃退法(上)を読んでからお読みください

偽札問題が急展開する。

  倉田健次郎(豊川悦司)が床屋のまえだ(リリー・フランキー)を訪れ、津田伸一(藤原竜也)について尋ねる。まえだは、津田に倉田の経営するスナックにいき、富山を離れることをにおわせ、今のうちに東京の加奈子先輩(坂井真紀)のもとに行くように勧める。これは事実だ。これが現実でないと津田は東京に出ていけない。

 津田は言われた通り、スナック「スピン」に行くが、店にいた吟子姐さん(森カンナ)に誘惑され、一夜を過ごす。しかし、倉田の部下の大河内(浜野謙太)にみつかり、ボコられるが倉田に連絡をとってもらい、探しているものを持っていると伝えてもらい、スーツケース(3千万円)を大河内に渡す。

 床屋以降の話は小説だ。吟子姉さんは、原作には出ていない。

 映画の比較的初めの方に、東京の加奈子先輩のバーで津田と鳥飼なほみ(土田太鳳)とのやり取りが映されている。以前に不倫を題材にした津田の小説が事実で、迷惑を被った鳥飼は、今回の小説が事実かどうかを心配している。

 鳥飼は事実かどうか確かめるために、富山を訪れることになる。

*鳥飼なほみの描写にも事実と小説があるが、これは簡単、髪の短い鳥飼が現実で、髪の長い鳥飼が小説だ。房州老人からもらったお金が偽札と分かった時に、お金を燃やす空想シーンがあるが(実際にはもやしてないし、鳥飼がいきなり富山に現れているので空想でまちがいない)、そのときの鳥飼の髪は長いので、髪の長い鳥飼は現実の世界とは違うことになる。

 現実の鳥飼が訪れた富山には、現実に床屋のまえだ、コーヒーショップの店員、沼本(西野七瀬)、デリヘル経営の社長、川島(岩松了)、空き家になった幸地の家、クリーンセンターは存在した。現実なので存在して当然だ。

 富山から吟子の旦那の山下(倉田健次郎の部下・村上淳)が、吟子を寝取ったことで津田に追い込みをかけてくる。吟子姐さんの話は小説なので、これも小説だ。山下が、日本刀を振り回して、商店街を走っているので小説に決まっている。

 加奈子のバーにNPO法人の堀之内(濱田岳)が現れ、津田に3千万を寄附したくれたことの感謝を述べに来る。銀行で確かめたので、3千万は本物だったのだ。3万円だけが偽札だった。このシーンは鳥飼の髪が短いので現実。3千万と倉田健次郎の存在は現実だ。

 倉田健次郎の3万円の偽札はどうして、房州老人を通じて津田の手に回ったのか?

 倉田健二郎→スピンのレジ→アルバイトの佐野→佐野の友達→デリヘルまりこ→津田→奥平→房州老人という流れ。これは現実。

 場面は、2月29日。倉田健次郎が偽札が表に出た件のけじめをとる。全ての元凶の菜々美(佐津川愛美)を始末する。晴山青年(柿澤勇人)と合流した菜々美を見つけた倉田たちは、晴山に暴行を加える。倉田健次郎は菜々美に「性悪女」とこけ下すが、倉田健次郎がなぜそこまで、菜々美を嫌うのかイマイチわからない。友達の幸地秀吉(風間俊介)を苦しめてるからだけとすれば、やりすぎのような気がする。 

 秀吉は、自分の妻を孕ませた晴山青年を助けようとするが、秀吉も襲われる。止めに入ろうとした菜々美も襲われる。

 この暴行のシーンはここまでが現実。

 この後、秀吉がピーターパンの小説に書かれているように手をたたきだす。晴山青年が車を暴走させて難を逃れる。そのすきに秀吉も菜々美と娘を車に乗せて避難する。これは小説。

 再び加奈子先輩のバー。津田のもとに今帰った客より、汚れたピーターパンの小説が届けられる。津田は帰った客を追いかけ、車に乗り込む秀吉、車に乗っている倉田健次郎を見つけ、何故か小説の題名を「鳩の撃退法」と決めて映画は終わる。

「下」に続く

 

 

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