日本初のヘアヌード映画だが、1994年の渋谷が舞台の青春映画だ
かなり激しい性描写(アンダーヘアも見えている)や、アラーキー(荒木経惟)撮影の裸の写真も織り込まれているが、これは青春映画だ。出演者や山崎ハコの挿入歌が青春映画感を出している。
なんと言ってもビックリは、主役でSMの女王様でヘアヌードで激しい性行為を演じているのは鈴木砂羽ということだ。鈴木砂羽には相棒のイメージ強く、濡れ場を演じているとは知らなかったが、昔は結構、裸を晒している。
劇団で女優を目指しているレイ(鈴木砂羽)は、SMの女王様で稼いでいる。冒頭から激しいSMシーンが描かれている。レイの所属する劇団で、レイは看板女優だったが、性に奔放なレイは劇団の男全員と関係を持っている(みんなも承知)。劇団員にはひでお(宮藤官九郎)、おさむ(阿部サダヲ)らが所属している。若き日の宮藤官九郎、阿部サダヲも見ものだ。二人とも映画初出演。彼らとの絡みももちろん描かれている。この映画は劇団員のやり取りもおもしろい。
レイは同じビルで働くホテトル嬢のアユミ(片岡礼子)と友達になる。アユミは結婚願望が強く医者の卵や、弁護士の卵(武田真治)と付き合っている。二人は飲み明かしたり、ナンパされた男と海に行ったり青春を楽しんでいる。
劇団員のもうお一人の女、さくら(中島陽子)は、アユミの事務所で電話番のアルバイトをすることになる。ホテトル嬢同士の喧嘩を止めたり、なかなかの肝っ玉ぶりだ。
レイの客には女装して虐められたがる人や、刺青を入れたヤクザの幹部、澤登がいる。澤登を演じているのは、萩原流行だ。ヤクザの時は怖い人物だが、礼儀正しい変態だ。レイに好意をもっており結構ハードに虐められている。レイの女王様っぷりは見事(見ていて怖いぐらい)というほかない。鈴木砂羽はこの映画で様々な賞を受賞している。
劇団員たちは次の公演がきまり、バイトの最中も演劇の練習に夢中になる。劇団の練習風景、仲良くプールで遊ぶ描写も面白い。
ホテトル嬢が殺される事件が発生し、同業者が休業する中でも、アユミの事務所は、今が稼ぎ時と、せっせと客を取っていく。アユミの客にナイフを持った男(田口トモロヲ)が現れるが、アユミからの暗号をさくらが理解し、救出される。救出に現れるのは哀川翔だ。
レイは性病にかかってしまう。男達は茫然としているが、何故かレイは明るい。もちろん、劇団の男たちも仲良くかかってしまう。
レイのもとに理屈っぽい上から目線の客が訪れる。女王様の本能が燃え上がったレイは、目隠し、手錠、猿轡を駆使して、見事に調教してしまう。(恐ろしい)そのやり方に感服したオーナーの冴子(杉本彩)は2号店をやらないかと持ち掛ける。同じ時間。レイの同僚の客に眼鏡をかけた男がきている。円形の板に張り付けられ、鞭で打たれて会社の社長の悪口を言って喜んでいる。演じているのは大杉漣だ。
劇団の公演初日が訪れる。澤登(萩原流行)は大量に売れ残ったチケットを買い集め、無料の上におまけまでつけて配りまくり客を集めていく。アユミも観に来ている。満員になった劇場で、劇団員たちは満足の舞台を披露する。舞台終了後、テンションの上がった劇団員と客たちは、だれかれ構わずキスをする。澤登もレイにキスしてもらおうと、目を瞑って待つが、キスをしてきたのは同じ劇団員のさくら(中島陽子)だった。澤登は気づいていない。
劇団員とアユミは打ち上げで大盛り上がり。朝になり、レイとアユミは男をナンパし、海に繰り出す。SMプレイと称して、男二人を砂浜に埋め、全裸で海でおおはしゃぎする。
常に明るく積極的な二人は、明日に向かって生きていく。
濃厚な性描写が多い映画だが、エロっぽく無い楽しい映画でした。
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