現実に起きた「リンゼイ・アン・ホーカー殺人事件」、「市橋達也の英会話学校講師殺人事件」といったほうが有名だろう。その犯人「市橋達也」の逃亡を描いた映画。市橋達也と思われる逃亡犯を、三人の身元不明の人物を登場させて、誰が市橋達也かを推理させるストーリー。 映画では「八王子夫婦殺人事件」で犯人は「山神一也」となっている。
＊役名は顔がイメージしやすいよう、役者の名前そのままで書きます。
市橋達也の逃亡中に何度か、市橋達也と思われる人物の写真が出ていたが、今回の映画で、市橋達也（と思われる人）役者の３人は、なんとなく面影がある。千葉の漁港で働く松山ケンイチ、東京でゲイとして暮らす綾野剛、沖縄の無人島で暮らす森山未來。
千葉編
松山ケンイチは、自分の身元をかくしながら漁業で働き、雇い主・渡辺謙の娘・宮崎あおいと同棲することになる。宮崎あおいは、東京で風俗で働いていたところを父親の渡辺謙に連れ戻される。身も心もボロボロで千葉の実家に連れ戻された宮崎あおいは、松山ケンイチとの生活に希望を持つ。しかし、松山ケンイチの素性に疑いを持つ渡辺謙は、松山ケンイチの前の職場を訪ね、違う性を名乗っていたことを突き止める。松山ケンイチは親の借金から逃げているというが、テレビで「山神一也」の写真が流れると、渡辺謙はいよいよ松山ケンイチを疑うようになる。松山ケンイチを信じたい宮崎あおいだが、信じ切りたいためか、遂に自ら警察に、山神一也に似た人物がいると通報する。
東京編
東京編は、この映画の中では異色の世界。妻夫木聡のゲイの役もなかなかはまり役で、綾野剛との恋も、なんだか普通に見ていられる。いやむしろ、妻夫木聡と綾野剛が裸で絡み合う姿はなかなか見ものかも。
綾野剛と一緒に住むことになり、妻夫木聡の病気の母親とも仲良くなった綾野剛だが、妻夫木聡の知人がお金を盗まれたり、綾野剛が女性・高畑充希と会っているとこを見た妻夫木聡は、綾野剛に、俺を裏切っているのではないかとせめ、綾野剛は姿を消す。数日後、警察から綾野剛のことを知っているかと、妻夫木聡に連絡が入る。綾野剛を探している妻夫木聡は、高畑充希を見つけ、綾野剛の素性を聞き出す。
沖縄編
広瀬すずと佐久本宝が無人島に遊びに行くと、数日前から住み着いている森山未來と出会う。那覇に遊びに来ていた広瀬すずと佐久本宝は、森山未來と出くわし、３人で居酒屋で飲む。森山未來と別れた二人は、やがて佐久本宝もいなくなり、広瀬すずは米兵に襲われる。佐久本宝は、現場を見つけるが、怖くて助けに出ることができない。このことで二人とも心が塞ぎこむ。
佐久本宝の実家の旅館を手伝うことになる森山未來だが、徐々に情緒不安定になり客の荷物を放り投げるなど奇怪な行動をとり始める。更に森山未來は、広瀬すずが米兵に襲われているとき、自分も見ていたことを佐久本宝に告白する。佐久本は、森山未來がその時のことを茶化す行為に怒りを覚える。
それぞれの編に、実際の市橋達也がとったと思われる行動をかぶせたり、この人が犯人だと思わせる要素を織り込み、最後まで誰が本当の犯人かわからいよう上手く作られている。
山神一也は判明するが、それぞれの編のストーリー自体も、しみじみと感じる見応えのある映画でした。
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